我が国の産業・社会は、デジタル技術の高度化、グローバル競争の激化、カーボンニュートラルの実現に向けた構造転換など、急速な変革期を迎えている。生成AI、IoT、ロボティクス、ビッグデータ解析といった先端技術は産業構造を根本から変えつつあり、企業は高度な専門性と創造性、さらに国際的視野を備えた人材を求めている。
教育分野においても、一人一台端末環境の高度活用、データ利活用能力の育成、探究的・実践的な学びの積み重ねや深化が求められている。一方で、地域産業を支える技能人材の確保、熟練技術の継承、産学官連携の強化は依然として重要課題であり、工業教育の果たす役割はますます大きくなっている。
経済産業省による2040年の産業構造推計では、デジタル・グリーン分野を中心とした産業の高度化とともに、付加価値創出型人材の育成が不可欠とされている。また、文部科学省が進める高等学校教育改革では、STEAM教育、探究的学習、主体的に学び続ける力の育成が重視されている。岡山県においても、地域産業の持続的発展を支える人材育成と産学官連携の強化が重要施策として位置付けられている。
さらに、国際的な技術競争が激化する中、グローバルな技術動向を理解し、多様な文化や価値観を尊重しながら協働できる人材の育成も不可欠である。地域産業との共創を基盤としつつ、国際社会で通用する技術者としての素養を育むことが、工業教育に求められる新たな使命となっている。
以上を踏まえ、本協会は次の二点を重点事項として、令和8年度の事業を推進する。
【重点事項】
1 主体的に学び続ける力と実践的技術力の育成
基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図るとともに、探究活動において生成AIやデータサイエンスを活用し、思考力・判断力・表現力を育成する。ICTや学習データを活用した個別最適な学びと協働的な学びを推進し、変化の激しい社会に主体的に対応できる自己教育力を育む。また、国際的な技術動向への理解を深め、グローバルな視点を持った技術者の育成を図る。
2 社会人基礎力・キャリア形成能力の育成と地域共創の推進
基本的生活習慣の確立、規範意識の醸成、情報モラル・AI倫理の向上を図るとともに、キャリア教育の充実により望ましい勤労観・職業観を育成する。地域産業界との共創的な連携を強化し、実社会の課題解決に取り組む力を育む。また、多様な価値観を尊重し、国際社会で協働できる資質を育成するとともに、SDGsの視点を踏まえた持続可能な社会の担い手としての能力を高める。
このため、本年度の事業を次のように計画し、推進する。
記
(1)ものづくり力の育成
①「高校生のものづくり技能取得支援事業」及び「若年技能者人材育成支援等事業」を推進し、資格取得・検定合格を促進する。
②高度資格取得者や優秀な成績を収めた生徒を顕彰し、学習意欲の向上を図る。
③「高校生ものづくりコンテスト県大会」を充実させ、中国地区大会・全国大会への参加を支援する。
④「令和8年度高校生ものづくりコンテスト中国地区大会(自動車整備・電気工事・電子回路組立)」を開催する。
⑤「第34回全国高等学校ロボット競技大会岡山県予選会」を開催する。
⑥地域企業との共同研究や技術交流の機会を拡大する。
(2)教員の指導力の向上
①先端設備やICTの活用に関する研修を実施し、指導力の向上を図る。
②若手教員研修を充実させ、技術・技能の継承を推進するとともに、事故防止に資する実習指導力の向上を図る。
③産学官連携による実践的研修を推進し、地域産業との共創的な教育活動を強化する。
④機関誌「工業教育」第72号を発行する。
(3)進路保障の充実
①産業界のニーズに対応した教育内容の研究を推進する。
②キャリア教育に基づく進路指導の充実を図る。
③大学進学支援及び教員志望者の育成を推進する。
④地域産業界との連携を強化し、共創的な進路支援を行う。
(4)広報活動の充実
①工業教育の魅力を積極的に発信する。
②学習成果発表の機会を活用した情報発信を推進する。
③小中高大連携を強化し、地域社会とともに工業教育への理解を深める。
(5)将来を見据えた工業教育の充実
①中長期的視点に立った工業教育の在り方を研究する。
②工業科教員確保に向けた取組を推進する。
(6)その他
①令和8年度 全国情報技術教育研究会 第54回全国大会(岡山大会)の開催を支援する。
②令和9年度高校生ものづくりコンテスト全国大会に向けた準備を進める。
③「高校生テクノフォーラム」の新たな形を検討する。

